TCE財団 ロゴ

 キャリア・サポートニュース

 
 

キャリア教育のヒント第16回――根本 英明

様ざまなアクティブラーニングの技法


 アクティブラーニングの技法には、協同学習やラボラトリー体験学習、構成的エンカウンター、PBL(プロブレム/プロジェクト・ベースド・ラーニング=問題解決型/プロジェクト型学習法)、反転学習、TBL(チーム・ベースド・ラーニング)、LTD(ラーニング・スルー・ディスカッション=話し合い学習法)など、実にさまざまある。

 キャリア教育ワークブック『未来ノート』を活用した授業は、チームの力を借りながら、自分のキャリアのあり方を考えていく、チーム学習を中心に展開している。将来の仕事環境についての先行きがますます不透明さを増している現在、自分で自分らしいキャリアのあり方を見つけていくには、より能動的(アクティブ)に、より主体的に学習していくことが求められる。

 キャリアを考えるうえでの要諦は自己理解にある。これは普段、自分が人生や社会、物事をどのように考え、感じたりしているか。どのように動いているか、自分のものの考え方や態度、行動の仕方などについて知ることである。

 けれども自分だけで理解したつもりになってしまうのはよくない。他者からの自分の関心や言葉、評価などを受け入れることと、アセスメントを通して客観的な診断結果を受け止めることが、「ほんとうの自分」を知る手立てとなる。そのためには自己分析だけでなく、他者からのフィードバック、アセスメントといったデータ活用が効果的である。

 対人関係における気づきのモデルとして、「ジョハリの窓」をご存じの方も多いと思う。自分の心には、①自分も他人も知っている「開かれた窓」、②自分では気づいていないが、他人には見えている「気づかない窓」、③自分は知っているが、他人には知られていない「隠している窓」、④自分も他人も知らない「未知の窓」、の4つの領域があるという。

 思っている自分と思われている自分にはギャップがある。そのことを認識して対人行動をすることで自己理解も進む。自己理解や対人関係を深めようとする場合、「開かれた窓」を広げるとよい。そのためには自分の意見を素直に発言し、自分を他人にわかってもらうとともに、相手の話をしっかりと受け止め、他者の自分への意見や感想から自分を知ることが大切である。自己改革の第一歩は己を知ることから始まる。『未来ノート』にはそのための手がかりとなるさまざまなワークが網羅されている。





根本 英明(ねもと・えいめい)

日本能率協会で月刊誌「人材教育」編集長等を経て独立。大学・専門学校でのキャリア教育の推進に携わっている。自在(株)代表取締役、TCE財団キャリア・サポート事業運営委員会委員、キャリアコンサルタント。



←前の記事へ   次の記事へ→
←「キャリア教育のヒント」の前の記事へ   「キャリア教育のヒント」の次の記事へ→

[キャリア・サポーター養成講座のページに戻る]