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キャリア教育のヒント第15回――根本 英明

カリキュラムマネジメントについて


 今回は、キャリア教育を展開していく上で、「主体的・対話的な深い学び」と共にカリキュラムマネジメントをいかに進めていくべきかを説明したい。

 中央教育審議会では一昨年、学習指導要領の改善と方策についての答申を取りまとめた。この答申では、予測困難な時代の変化を前向きに受け止め、社会や人生をより豊かなものにしていくためには、学習内容を人生や社会のあり方と結びつけて深く理解し、これからの時代に求められる資質・能力を身につけ、能動的に学び続けられるような授業を行うべきとしている。

 そして求められる資質・能力として、①「知識・技能」の習得②「思考力・判断力・表現力等」の育成③「学びに向かう力・人間性等」の涵養、という3つの要素を示している。これらは、そのまま社会的・職業的自立に向けての基盤となる能力や態度を育むことと重なり、キャリア教育のめざす方向性とも一致する。

 こうした資質・能力の育成には、「社会に開かれた教育課程」の理念のもと、アクティブラーニングの視点に立った授業と共にカリキュラムマネジメントの確立が求められる。

 大阪教育大学教授の田村知子氏によると、カリキュラムマネジメントとは、各学校が、学校の教育目標をよりよく達成するために、組織としてカリキュラムを創り、動かし、変えていく、継続的かつ発展的な課題解決の営みのこと。カリキュラムを核として、学校の課題を改善する学校改善のプロセスである。

 これを確立する上で大事なことは、第一に、学校としての具体的な教育目標を掲げ、各教科を越えた視点で、その目標の達成に必要な教育内容を組み合わせ、関連づけていくこと。第二に、教育の質の向上に向けて、P(目的・目標の明確化)→D(授業の実施)→C(学習成果の確認)→A(授業の改善)のサイクルを回すこと。このマネジメントサイクルが質的な高まりを実現していく。第三に、教育活動に必要な人や資源を、学校内にとどまらず、外部も含めて活用しながら、効果的に組みわせること。以上の3点である。

 「未来ノート」のワークブックでは、それぞれの単元における学習目標を明確にし、そこに到達するための学習内容を具体的にして、カリキュラムマネジメントが容易にできるように構造化されている。

 学校の教育目標として「主体的・対話的な深い学び」を実現していくためには、各教科や領域を越えた教職員間、さらには学校内外との連携や協働といった「つながり」が、なによりも大切だといえる。





根本 英明(ねもと・えいめい)

日本能率協会で月刊誌「人材教育」編集長等を経て独立。大学・専門学校でのキャリア教育の推進に携わっている。自在(株)代表取締役、TCE財団キャリア・サポート事業運営委員会委員、キャリアコンサルタント。



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