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キャリア教育のヒント第17回――根本 英明

成功体験や達成感が自己効力感の源に


 前回、アクティブラーニング型授業がキャリア教育の学びを深める上で、「とても効果的だ」と書いた。このアプローチは、これまでの「教える」から「自ら学ぶ」にシフトするため、従来の授業スタイルとは異なり、グループワークや実習が中心となる。そのため限られた授業時間の中で授業デザインや進め方、独自教材の作成などの準備が必要とされ、教員の負担が増えることが懸念されている。

 キャリア教育ワークブック「未来ノート」では、こうした課題がすべてクリアされている。学生が自分のキャリアのあり方を探しやすいように、チーム学習のやり方が構造化されている。また能動的な学習ができるように内容が編成されているのだ。 

 章ごとのワークを進めていくに従って、学生が自分のキャリアについて、気づきと洞察を深め、仕事全般についての理解を高めて、よりよい職業選択へと向かうように設計されている。

 アクティブラーニング型授業の利点はいろいろあるが、とりわけ大きな効用として学生の自己効力感の向上があると思う。自己効力感とは、ある具体的な状況において適切な行動を成し遂げられるという予測及び確信のこと。行動を起こす前に「やればできる」「なんとかできそう」と思う気持ちが、道を切り拓く原動力となり、目標を実現するために必要な行動を起こす力になる。

 自己効力感を高める源泉は、自分自身の成功体験及び代理体験だという。ワークでの成功体験やプロジェクト学習を通じての達成感は、学生にとって自己効力感の向上につながる。

 ニューヨーク市立大学大学院のキャシー・デビッドソン教授は「アメリカの小学校に入学した子供たちの65%は、大学卒業後、今は存在していない職業につくことになるだろう」と予測した。

 専門学校で学ぶ学生の多くは、専門職を目指して勉学に励んでいることと思う。けれども中には、志かなわず別の分野に進まざるを得ない人もいるだろう。努力の甲斐あって目指す分野に進むことはできたものの、その後、その分野がいつまでも存在しているとは限らない。

 そんな時、自己効力感が高ければ、自分の強みを把握しつつ、置かれた環境や課題に柔軟に向き合い、キャリアをシフトしていくことができる。アクティブラーニングは、そうした能力を養うのに最適な方法ではないかと思う。





根本 英明(ねもと・えいめい)

日本能率協会で月刊誌「人材教育」編集長等を経て独立。大学・専門学校でのキャリア教育の推進に携わっている。自在(株)代表取締役、TCE財団キャリア・サポート事業運営委員会委員、キャリアコンサルタント。



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