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キャリア教育のヒント第8回――根本 英明

CSM講座と「未来ノート」の活用事例


 今回は神奈川県綾瀬市にある学校法人湘央学園(湘央医学技術専門学校、湘央生命科学技術専門学校)のキャリア教育の取り組みについて紹介したい。入試キャリア支援室副室長の安藤有紀さんに話を伺った。

 同学園では先月、学内の教職員対象にキャリア・サポーター養成講座(CSM講座)を開催した。「生命を尊重する、人間性豊かな専門職業人の育成」を建学の理念とする、臨床検査技術学科をはじめとした3学科・4コースを有し、さらにグループ校として沖縄アカデミー専門学校、浦添看護学校という2つの専門学校を擁する。設立は40年を超え、医療・福祉分野に数多くの人材を送り込んでいる。

 入試キャリア支援室では、就職活動に対して受け身の学生が増えてきたことに課題を感じていた。資格取得率を高めることはもちろんのこと、就職力を高めることは専門学校にとって重要なテーマである。

 昨年4月、入試キャリア支援室発足にあたり、学生に対する就職支援をどのように行ったらいいのか暗中模索している折、二宮克行室長と安藤有紀副室長は、送られてきたパンフレットでCSM講座の存在を知った。何か糸口になればと、2人がこの講座をぜひ受けたいという旨を学園に伝え、理事長の了承を得て、TCE財団が主催するCSM公開講座に参加した。

 参加してみると、学生の自立を促す「こういう指導があるのかと、目から鱗の連続でした」と安藤さんは振り返る。同学園がCSM講座の発表と研修を教職員に受講させようと考えた背景には、学園のキャリア教育を整えていきたいという2人の強い思いがあったのである。

 そこで、公開講座で学んだ興味深い内容を学園に伝えるべく、教職員に向けてプレゼンを行った。それに経営陣も理解を示し、学内での開催に至ったのである。

 参加した教職員は24名。神奈川の教職員は学科長含めほぼ全員、沖縄の2校からも数名ずつ、上は70代から下は卒業2年目の20代の先生が参加。グループ編成ではなるべく違う学科、年齢も多様性を持たせた。その結果、学科を越えたつながりも生まれた。

 湘央学園では、今年4月から新入生を対象にアクティブ・ラーニング型ワークブック「未来ノート」によるキャリアの授業を必須科目としてスタートさせた。

 教職員に向けた「キャリア・サポーター養成講座」を受けてキャリア・サポーターとなり、学生に対する「未来ノート」によるキャリア教育で相乗効果が生まれることと思われる。





根本 英明(ねもと・えいめい)

日本能率協会で月刊誌「人材教育」編集長等を経て独立。大学・専門学校でのキャリア教育の推進に携わっている。自在(株)代表取締役、TCE財団キャリア・サポート事業運営委員会委員、キャリアコンサルタント。



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