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キャリア教育のヒント第7回――根本 英明

「統合・意思決定」と「目標設定・行動」


 前回、「キャリア・プランニング・プロセス」の4つのステップ(「自己理解」、「選択肢に関する情報収集」、「統合・意思決定」、「目標設定・行動」)の「選択肢に関する情報収集」について説明した。今回は「統合・意思決定」と「目標設定・行動」について説明したい。

 「統合・意思決定」の意味は、意思決定のときに、ある選択肢を取ったとする。そのときどんなことが起こり得るかを事前に考慮しておくこと。その選択肢を取るにあたって、プラス面、マイナス面、障害となることは何か、どんな準備が必要かを考え、確認し、自身の価値観に基づき、長期・短期の選択肢を選ぶことである。

 次に「目標設定・行動」について述べる。夢は人生に生きる力を与える。人間にとって大切なことは夢を描く力ではないだろうか。その夢を実現するために目標を立てる。だから目標は人から押し付けられたものであってはならない。他者の協力や助言を得たとしても、自らの主体的意志で立てた目標であってこそ、人生を前進する力が生まれ、困難な状況を乗り越えていくことができる。

 目標設定の基本的ステップは、達成したい目標を明確にすること。そして達成基準を明確にすることである。その達成に向け、必要なステップを踏むことで、夢を現実に引き寄せ、カタチにしていくことができる。ここで目標達成に役立つツールとして「ステップ表」をご紹介したい。

 「ステップ表」とは、目標達成のプロセスを計画化するためのツールである。これを使うことで、達成したい目標へのプロセスがクリアに整理できる。

 方法は次の手順を踏むだけである。

 ①達成したい「目標」を決める。

 ②その達成された状態の「イメージ」をダイナミックに描く。

 ③その達成までのステップで留意すべき点を列挙する。

 ④その達成までの実行を組み立てる。

 大切なことは、思いを込めて本気でつくること。作成したステップ表を深く見つめ、自分の中で対話することで、初めの一歩から目標達成までのすべてのストーリーが立ち現れてくる。これがステップ表の特徴である。そして、ここに書いたことを行動に移すことで、目標を達成させていくのだ。

 最後に三島由紀夫の言葉を紹介する。「空虚な目標であれ、目標をめざして努力する過程にしか、人間の幸福は得られない」。





根本 英明(ねもと・えいめい)

日本能率協会で月刊誌「人材教育」編集長等を経て独立。大学・専門学校でのキャリア教育の推進に携わっている。自在(株)代表取締役、TCE財団キャリア・サポート事業運営委員会委員、キャリアコンサルタント。



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