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キャリア教育のヒント第5回――根本 英明

キャリア・プランニング・プロセス


 今回は、キャリア・プランニング・プロセスについてお話したい。これは相談者がキャリアに関する意思決定をする際に経るとされるプロセスのことで、「自己理解」「選択肢に関する情報収集」「統合・意思決定」「目標設定・行動」という4つのステップからなる。

 実際には必ずしもこの順に従って進むわけではなく、時に意思決定だとか目標設定を行う場合もあったりする。しかしながら、このフレームがあることで、相談者が今、どの場面にいるのかを知ることができ、そこにどのように関わっていくべきか、手がかりを得ることができる。

 キャリアを選択していく上での第一歩は自分自身について理解すること。自分は、どんなことに興味や関心を抱いているのか、自身の性格や価値観、能力、さらには行動特性、強み・弱みなどを知り、自分の持ち味の活かし方を身につけることで、よりよい進路設計が可能となる。

 自己理解を進めるためには、①自分について書き出してみる(興味や関心事、これまでの人生を過去から辿って書き出してみるなど)②他者からフィードバックを受ける③パーソナリティ診断、適性診断といったアセスメントツールを活用する、などがある。

 ①については、自己理解に関するワークブックがいろいろと市販されているので、それらを活用することをお勧めする。ちなみに複数の専門学校のキャリア教育で採用している『未来ノート』(TCE財団)は、学生のキャリア意識を高めるアクティブラーニング型の授業が展開できる教材として、とても役立つ。この教材では、全12回のセッションのうち、5回を自己理解に充てている。

 ②について、自他から見た自己を心の4つの窓に分けて捉える「ジョハリの窓」というフレームがあるが、自分のことは案外、自分でも分からず、友人知人から指摘されて初めて気づく場合がある。

 ③については、さまざまなパーソナリティ検査や職業興味検査が市販されており、総合的に活用することで、性格特性や職業志向性を探ることができる。

 ただし、自己理解について注意すべき点は、それ自体が目的ではないということ。職業経験のない学生が、自己理解を必要以上に絶対的に捉え、立ちすくんでしまうようなことがあると本末転倒である。あくまで参考指標として捉えておきたい。





根本 英明(ねもと・えいめい)

日本能率協会で月刊誌「人材教育」編集長等を経て独立。大学・専門学校でのキャリア教育の推進に携わっている。自在(株)代表取締役、TCE財団キャリア・サポート事業運営委員会委員、キャリアコンサルタント。



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