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キャリア教育のヒント第11回――根本 英明

ビジネス系専門学校のCSM講座活用例


 郡山市にあるケイセンビジネス公務員カレッジには、公務員をめざす公務員上級学科、行政事務学科、行政マネジメント学科の3学科と、民間企業をめざす総合ビジネス学科の全4学科が設置されている。

 創立51年の同校は長年の経験とノウハウから高い公務員試験合格の実績を上げている。それだけでなく、民間企業への就職率も抜群の実績を誇る。

 同校では15年程前からビジネス系学科でキャリアデザインという授業を設けていたが、当初は市販の就活本を使った授業だった。当時ビジネス系学科主任兼担任だった大森弘美さん(現キャリアサポート室室長)は、就職活動支援にも力を注いでいた。そんな折の2007年夏、岡部隆男校長からTCE財団主催の「キャリア・サポーター養成講座」(CSM講座)へ参加し、キャリア・サポーターの認定を取得するよう勧められた。

 校長には、就活テクニックよりも学生のキャリア形成や働く上での心構えを身に付けて欲しいという強い思いがあったからだ。

 大森さんは講座をきっかけにキャリア教育の奥深さに気づき、学んだことを教職員に伝えるとともに、講座内容を授業に取り入れるなど、今まで以上にキャリア教育に力を注いでいった。

 同校では2010年よりTCE財団のワークブック「未来ノート」(当時「やる気の根っこ」)を活用したキャリアデザインの授業を、大卒対象学科を除くすべての学科で必修科目として導入。公務員系学科にもこの授業を必修科目とした理由を大森さんはこう語る。

 「公務員になるにはまず筆記試験があり、その土俵に上がらなければなりません。そのため、公務員をめざす学生は日々勉強と模試の繰り返しです。目標に向かって邁進することも大事ですが、キャリアの授業で一回立ち止まって考えさせたい。同じ公務員志望でも、例えば公安系は警察官になって世の中を守っていきたい、消防士になって人を助けたい、といった熱い思いがある学生が多い。これに対し、行政系は、公務員は安定しているから、親が良いと言っているからなど、なぜ働くのか動機が弱い学生も正直多いわけです。働く意義はそれだけではない、本当にそれでいいのか、というところを気づいて考えてほしいと思います」

 今後、同校では全教員がキャリア・サポーターの認定を取得する方針で、今年3月には学内で「キャリア・サポーター養成講座」(CSM講座)を実施した。教員一人ひとりの日々の言動が、すべてキャリア教育につながると考えるからだ。同校のこれからに目が離せない。





根本 英明(ねもと・えいめい)

日本能率協会で月刊誌「人材教育」編集長等を経て独立。大学・専門学校でのキャリア教育の推進に携わっている。自在(株)代表取締役、TCE財団キャリア・サポート事業運営委員会委員、キャリアコンサルタント。



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