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アクティブ・ラーニング型キャリア教育ワークブック やる気の根っこ

未来ノート

導入校インタビュー

「キャリア・サポーター養成講座」の学内開催と

その成果

〜 湘央学園の取り組みに学ぶ 〜

 神奈川県綾瀬市にある学校法人湘央学園では、2018年3月に学内の教職員対象にキャリア・サポーター養成講座(CSM講座)を開催した。同学園は「生命を尊重する、人間性豊かな専門職業人の育成」を建学の理念とする、臨床検査技術学科をはじめとした3学科・4コースを有し、さらにグループ校として沖縄アカデミー専門学校、浦添看護学校という2つの専門学校を擁する。設立40年を超え、医療・福祉分野に数多くの人材を送り込んでいる。

 入試キャリア支援室では、就職活動に対して受け身の学生が増えてきたことに課題を感じていた。資格取得はもちろんのこと、就職力を高めることは専門学校にとって重要なテーマである。

 2017年4月、入試キャリア支援室発足にあたり、学生に対する就職支援をどのように行ったらよいか暗中模索している折、二宮克行室長と安藤有紀副室長は、送られてきたパンフレットでCSM講座の存在を知った。何か解決の糸口になればと、二人がこの講座を受けたい旨を学園に伝え、理事長の了承を得て2017年8月、TCE財団主催の東京公開講座に参加した。

 参加してみると、「学生の自立を促すこういう指導があるのかと、目から鱗の連続でした」と安藤さんはふり返る。同学園がCSM講座を学内にて開催しようとした背景には、キャリア教育を整えていきたいという二人の強い思いがあった。そこで、公開講座で学んだ興味深い内容を学園に伝えるべく、教職員に向けてプレゼンを行った。それに経営陣も理解を示し、学内での開催に至ったのである。

 参加した教職員は24名。神奈川校の教職員は学科長含め、ほぼ全員が参加、沖縄の2校からも数名ずつ、上は70代から下は入職2年目の20代のメンバーが参加となった。グループ編成ではなるべく学科の偏りがなく、年齢も多様性を持たせた。

 研修初日は、意見を求めても、先生目線での答えが多く、学生目線での答えがあまり出ない状態だった。2日目のロールプレイングでは、当初は遠慮からかフィードバックの時に、お互い差し障りの無いことしかいわない状況だった。トレーナーの財津香壽子先生から「相手の成長のために少し改善点を言ってあげてください」とのアドバイスをきっかけに、参加者達のスイッチが入り、それ以降活発な研修の場となった。

 3日目には全員が積極的に、楽しみながら受講していた。

 終了後、ある参加者から「最初はどうしようかと思ったが、結果、参加してよかった」と言ってくれたので、安藤さんはほっとしましたという。

 「年代を越え、学科を越えて様々な意見に触れ、刺激を得て勉強になった」、あるいは「フィードバックしたりされたりというかたちで、自分自身をふり返る機会になったのでよかった」という意見もあった。

 「財津先生からの『答えは学生の中にある』という言葉がとても心に響きました」という感想を伝える教職員が何人もいたほどで、学内での講座開催は大好評だった。

ワークで自己開示していく中で「学科を越え、お互いを初めて知ることが出来た」と言う声も聞かれた。

 3日間の研修が終わって達成感も感じた。今では、同じ職員室にいる教職員同士、時には研修会でつけたニックネームで呼び合うほどコミュニケーションが円滑になり、学科を越えたつながりも生まれていた。

 湘央学園では、今年4月から新入生を対象にアクティブ・ラーニング型ワークブック「未来ノート」によるキャリアの授業を必須科目としてスタートした。

 教職員に向けた「キャリア・サポーター養成講座」を受けてキャリア・サポーターとなり、学生に対する「未来ノート」によるキャリア教育で相乗効果が生まれることと思われる。

キャリア・サポート事業運営委員会委員 根本英明


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